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2021.3.31

美のり窯 |松﨑康則・久美さん 3/4

「10年ちょっと前に、東京ドームで行われる『テーブルウェア・フェスティバル』に波佐見焼が出展されてブームに火がつき、東京でも話題になったんですよ。
それが全国に広がって、波佐見に行きたいっていう人がけっこう多くなって。そこで民泊なんかを探して来るんですよね。
行政の方が民泊をしてくれるところを探していると、地域おこし協力隊の人から聞いて、引き受けることにしたんです。」

ある時、小値賀島から来たお客さまが、美のり窯での民泊体験などをブログで発信。
それを見たテレビ局から、出演の依頼が来ました。(3回くらい断ったそうですが。笑)

「テレビ放映された直後は、ものすごい予約で。もう3日に1度はお客さんと一緒に食事をしているような忙しさでした。
また、作品も映されたので、ちょっと他に無いような絵柄ですから、珍しいとわざわざ買いに来てくれるお客さんも。
魚を釣り上げて、海から出てきた瞬間を捉えたような姿ですねって言われるんですよ。」

民泊された方とは、その後も長いお付き合いになるんだとか。
「一緒に食事をしたらね、ほんと一晩で、すごい仲良くなるんですよ。
ものすごく親しみが湧いて、もう友人みたいになってね(笑)。
2回3回と来られるリピーターもいらっしゃるし、そうやって関係が続いていくんです。
それが楽しいし、人との出会いがあることが、民泊の醍醐味かなとも思います。」

小値賀島から来た人も、折々に連絡が来るのだそう。
「その子も移住組で、島の人と結婚して、子どもができて…とか、知らせてくれるんですよ。
私たちも小値賀島に会いに行ったりね。」

去年の夏には、東京で個展をする計画もありました。
「東京からのお客さんがギャラリーをしていて、使って良いですよって。それも縁ですよね。
結局、コロナの影響でできなくなってしまいましたが。」

康則さんは大の「釣り」好きで、結婚してからも毎月のように、五島などへ魚釣りに出かけていました。
作品に描かれた魚の躍動感と迫力は、長年、間近で観察してきたからこそなんでしょうね。
長崎の美味しい魚をぜひ宿泊客にも味わってほしいと、夕食には新鮮なお刺身が並びます。
お料理だけでなく、盛られた器もご夫婦の手作りで、作家さん本人と語らいながら食卓を囲む、なんとも豊かなひととき。
心尽くしのおもてなしに、あたたかな気持ちが広がります。