editF_d

2020.2.22

絵描き |ウラベメグミさん 4/5

“生地屋” と “絵描き” の相乗効果。

ご両親が苦労されているところを見ていてもなお、他の仕事に就こうとは思われなかったんですね。

「最初は、手伝おうかな〜くらいの軽い気持ちだったので(笑)。まぁ、大丈夫だろうって。
でも、生地屋の仕事をしながら、その延長線上で、焼き物でも自分の作品をつくりたいという気持ちがどこかにあったのかもしれません。

今、絵付けの勉強にも通っているんです。絵付けの先生のトラディショナルなデザインをトレースする練習をしたり。
この部屋にある花瓶やお皿も自分で描いたものです。

少しずつ、生地屋と絵描きがリンクしてきている感じですね。」

こちらは生地屋さんなので、行う作業は器の成形まで。そこからは窯元さんで、素焼き・絵付・釉かけ・焼成などを経て完成に至ります。
ご自分で焼き物の作品をつくるとしたら、ここでは完成させられないということでしょうか。

「そうなんですよね。窯を買おうかとも思ったのですが、周りに窯元さんがいっぱいあるし、焼いて下さいとお願いすることにしました。
自分で絵付けをしたこのお皿も、藍染窯さんに生地を提供していただき、焼成してもらったんです。そして、素焼きの生地ができたら、私が絵付けをして、それに藍染窯さんが釉薬をかけてくれて。本当に良くしてもらっています。

絵付け自体は呉須さえあれば良いので、ここでもやれるんです。
素焼きのお皿を買い、それに描き、焼いてもらう。波佐見だからできるって感じですよね。」

生地屋としての、新たな展開。

「今後は、オリジナルのかたちの生地を作って売りたいなという考えもあります。
結局、私たちが現在やっているのは全部、受注生産なんです。依頼が来るのは、すでにデザインされた型のもの。
言ってしまえば、注文通りに “作るだけ” なんですよ。

そこを一歩踏み込んで、自分たちでデザインした生地を作り、それを窯元さんや商社さんに買ってもらう。そういうこともしていけたらと良いなと。
商社さんがオリジナルのブランドを作っているように、また、窯元さんが自ら販売もしているように、時代の変化に伴って、私たち生地屋も発信していく必要があると思っています。

石膏型は、本当にちょっとのズレで、お皿に歪みが出るんです。
自分たちでデザインをするなら、型の仕組みなども学ばなければなりませんから、すごく勉強にもなりますしね。」

絵描きとしての夢。

「ありがたいことに、絵の方の仕事も途切れることなく頂けています。
今は自分のペースでやれる範囲で受けているのですが。
最初に『私は生地屋をやっているので、納期が短いものは無理です』と伝えているんです。
それでも、どうしてもと言われる場合は朝まで描くこともありますけど(笑)。

これからの展望としては、作品をさらに増やして、個展をいろんな場所で沢山していきたいですね。
また関東の方でも開催したいですし、それこそ海外などでも。

ニューヨークで出会った人たちのように、人生を楽しく豊かにするものとして、絵とも向き合い続けていこうと思っています。」