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2020.2.22

絵描き |ウラベメグミさん 2/5

ニューヨークで気づいた、アートの意義。

「ずっと海外に行きたいと考えていたので、帰郷する前に、アメリカのニューヨークにある美術学校へ3カ月間の短期留学をしました。
基礎を身につけるため、デッサンだけをみっちりと。
そこは歴史のある学校で、学生だけでなく、社会人などの一般の人も一緒に通えるスクールがあって。
お年寄りの方もいらっしゃいましたし、子どものスクールもあったり、先生も働きながら教えに来ていたりと、面白いところでしたね。」

そこで得たものは何だったのでしょうか。

「アートに関しては『そんなに難しく考えなくても良い』ということです(笑)。
学校で出会った人が言っていた『生活が楽しくなるから、絵を描いているんだ』って言葉に、そういう考え方もあるんだなと、肩の力が抜けた気がして。
もちろん、人によって目指しているところはさまざまでしょうが、あまり『描かなきゃ!』と追い込む必要はないのかなと。
ご年配の方などは本当に心に余裕があって、描くことを純粋に楽しんでいるようでした。
それが多分、本来の姿なんだろうなぁと感じたんです。
人生を豊かにする、それがアートだって。」

そして2016年、ふるさとの波佐見へと戻ります。

インスピレーションの源は、波佐見の自然。

「東京にいた頃より、絵をもっと描くようになりました。
こっちにいる時の方が、個展のために描く、とかではなく、ちゃんと自分の絵と向き合って制作できている気がします。

そうなった理由は、おそらく環境でしょうね。
元々ここで生まれ育ったわけだし、自分には波佐見が合っているんだろうなって思います。
東京では、どうしても生活に追われたり、楽しい場所がいっぱいで誘惑も多かったり。

それから、描きたいモチーフも『自然』のものに変わりました。
近くに山があるので、すぐに登りに行けますし、周りには豊かな自然があるので、愛犬の散歩をしているだけでも、いろいろなインスピレーションが湧きます。
やはり景色が全然違うんですよね。
そういう身近な自然を絵に落とし込んで、作品づくりをする機会が多くなりました。」

山が好きになったのはお母さんの影響でしょうか?

「確実にそうだと思います。連れて行かれるので(笑)。
最初は嫌々だったのですが、最近は、すっかり山が好きに。
佐賀の黒髪山などは、一人でも行きます。
私はどちらかというと、ガツガツ登るというよりも、ただゆっくりと自然の中で過ごしたい。
のんびりと景色を眺めて楽しんで、絵を描いたり本を読んだりして。そういうのが一番、気持ち良いなって。」

おおらかで伸びやかな、自由な線。キャンバスいっぱいに踊る、カラフルな色彩。
どの作品にも、明るく朗らかで、自然体でにこやかに、でも真摯に答えてくれる彼女の人柄が表れているようです。