editF_d

2021.3.31

藤田鋳込所 |藤田伸一郎さん 1/4

波佐見ポートレイト|藤田鋳込所・藤田伸一郎さん

分業の現場から、職人ならではの発信を。

多くの窯元が集まっている陶郷・中尾山で、生地屋を営んでいる「藤田鋳込所」。
分業体制をとる波佐見焼の工程のうち、器の基本となる生地づくりを担っています。

中尾山では、江戸時代から現在に至るまで、連綿と窯業が続けられてきました。
煉瓦造りの煙突が残る、風情ある町並み。迷路のように入り組んだ小道を散策するのも楽しいところです。
そんな路地裏の先にある「藤田鋳込所」の工房は、なんだか秘密基地のような雰囲気。
ずらりと並んだ焼成前の生地や石膏型に、お手製の道具類、ちょっとしたメモ書きに至るまで、ワクワクして見飽きません。
一人で工房を切り盛りされている藤田さん。音楽をかけながら、黙々と作業をされています。

波佐見ポートレイト|藤田鋳込所・藤田伸一郎さん 波佐見ポートレイト|藤田鋳込所・藤田伸一郎さん

お父様が戦前に創業され、藤田さんは2代目。この道、約40年のベテランです。
高校、大学で焼き物を学び、卒業後に家業へ。10年ほど前に代表となりました。
焼き物一色の道を歩んできたように見えますが、本当は他にやりたいことがあったのだそう。
「喜劇などのお芝居をやりたかったんです。
でも、我々の年代は、長男は親の仕事を継ぐものだという時代性があって。
自分は一人っ子だったし、自然とこういう風にならされたというか…。」