2021.3.31

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藤田鋳込所 |藤田伸一郎さん 4/4

──お仕事のやりがいを教えてください。

「今、探しているところです(笑)。

与えられた仕事ばかりをやっている分業の中では、なかなか成果が形として見えないじゃないですか。
ここで作った生地は、まだ完成品ではないから。
窯元で絵付けを施されて姿も変わっていくし、どういう売り方をされるのかも分からない。
そういうところに、もどかしさを感じることもある。
自らプロデュースできないとダメなんだなと、つくづく思います。
だから、やりがいも自分で作り出していかないとね。」

──今後のビジョンや目標は何ですか?

「流れに任せるしかない部分もあるけど、自分なりに目の前のことを一生懸命やりながらも、どうしたら興味を持ってもらえるのか、次の展開も考えなくてはいけないと思っています。

世の中の変化を感じながらモノをつくることが大事だと考えているので、意識的に外に出て、いろんなことを観察するようにもしています。
コロナの前までは毎年、春は東京に、秋は京都に行って、美術館を巡ったりね。

時代の流れ的にも、この町自体も、体験型の観光を推進しようとしている。
もうすぐ歴史文化交流館(仮称)などの施設もできて、人の交流も増えていくでしょう。
そうなった時に、これまでは焼き物を『買う』だけだったのが、今後は、我々のような職人とコラボしながら、自分で『作る』こともできるんだということを発信していきたいんです。

リモートでのやり取りが増えて、実際に肌で体感することが難しくなったからこそ、余計に『あの人と直接会ってみたい』『一緒に何かをしたい』っていう気持ちが湧き上がってくるんじゃないでしょうか。
そこで、職人と一緒にものづくりができると、YouTubeなどで発信すれば、海外にまで展開できる可能性もあると思います。

ただ、そうするためには、分かりやすく伝わる方法で、常に新たな企画を考えて更新し続けなければならない。
作業をしているところをただ見せるだけじゃ面白くないし。
実際、日々の仕事をしながらでは、なかなか難しいじゃないですか。

ならばまず、ここで体験をする人を増やして、それから、その人たちと何がやれるかを考えていこうと。
コミュニティづくりをして、サロンのような場にできたら良いですね。まぁ、うまくいけばだけど(笑)。

本来、我々は分業の一部なわけですが、自分たちでも発信できるかたちにしたい。
その最初の一歩として、さまざまな試みをして、間口を広げて、多くの人と繋がり対話しながら、可能性を探っていこうと思います。
そうしないと後継者も育たないですしね。

表には見えない仕事だけど、いろんな人たちと共に良い商品をつくって、それが広まっていけば、職人としては嬉しいよね。」

波佐見ポートレイト|藤田鋳込所・藤田伸一郎さん

壁には「活機応変」という書き初めが貼られていました。

「色々な機会を活かして、変化に対応しましょうという意味。
コロナでさまざまな機会が失われてしまったけれど、それでもチャンスを見つけ出して、変化に応じられるだけの気構えを普段の生活から持っていよう。今年はそういう年にしたいと思ったんです。」

藤田鋳込所は、オープンに人を受け入れている、とても開かれた生地屋さん。
いろんな形に変えられるフレキシブルな手法で生地づくりをしているだけでなく、藤田さん自身も柔軟で、積極的に新しい物事に取り組んでいこうとされていました。

──私の波佐見のイチオシ!

ここ(笑)。もう自慢です。
誰が来ても楽しめる場を作ろうと思っているので、ぜひ遊びにきてください。

*2021年1月インタビュー
*撮影の時のみマスクを取っていただきました。

藤田鋳込所

長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷881
TEL/0956-85-3681

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