確かな技術で住む人の琴線に触れる建築を。

──里山建築について教えてください。

うちは代々続いている大工の家系なんですけど、私の兄が社長で7代目です。
ずっと地域に密着した仕事をしていて、手がけた建築物は300ぐらいあります。
メインは大工なので元々日本家屋の住宅を造るのことが多く、
じいちゃんやひいじいちゃんが手がけた建築を代々メンテナンスしたり、建替えを承ったり。それが大筋でしたね。

私が今から15年前くらいに帰ってきたんですけど、
ちょうど波佐見町に西の原やカフェができた、その時期と同じなんですよ。
そこからモンネルギムック(製陶所だった建物の出荷場をリノベーションしたカフェ)さんやHANAわくすい（製陶所だった建物の絵付け場をリノベーションした生活道具店）さんを通じて他のお店さんとの繫がりがずっと出来てきて、
カフェの建築やアパレル、雑貨屋さんをしたりして、今は店舗の建築も多いですね。
住宅、店舗、あとは古民家系のリノベーションもやっています。

──15年前に戻られてからはずっと営業をされているんですか？

そうですね、ほぼ営業ですね。僕はお客様係というか、何でも屋です。
今は一応ディレクターみたいな状態になってるんですけど、全体のとりまとめとかですね。

──そのお仕事のやりがいは何ですか？

常に出会いが生まれる場や、ものをつくる現場を守る空間を作っているというのが誇りですね。
自分が手がけたところは繁盛してもらいたいと思いますし、行った方が「良かったよ」「おいしかったよ」と言ってくださるのも込みで楽しいなと思います。

──里山建設のPRポイントといえば？

住宅メーカーって今すごく多いんですけど、代わり映えがしないんですよ。琴線に触れる建築が全くなくて。私は。
だから観る人、住む人の琴線に触れる建築をしたいというのがまずひとつですね。
それから僕らの強みは代々続いているということで、寺社仏閣を造る技術を持っているということです。職人として当たり前の事ですが。
大工として当たり前の技術を持ち、自分たちが展開する建築にその要素を入れることが出来るというところですね。
あと、私たちの特徴はこだわりが無いことだと思うんです。
“木をふんだんに使う家づくり”とかではなくて、時代とニーズに合わせて建築を行ないます。
その中で自分たちが持っているスキルとアイデアでフレキシブルに空間を作っていくというところが特徴ですね。

──伝統を守りつつ、変化にも対応してきたからこそ長く続いているんですね。

そうですね。

──波佐見町の好きなところはどこですか？

不便なところです。
あとは田舎だけどアンテナをはっている人、感度が高い人が多いところですね。情報が早いというか。

──“波佐見町はこんなところ”と表現するとしたら？

“ハイブリットな田舎”じゃないですかね。

──里山さんが副代表を務める金富良舎（こんぷらしゃ）の今後についてもお伺いしていいですか？

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＜金富良舎とは＞
2017年に、波佐見町育ち、または町に縁のある岩嵜大貴、川島源次郎、里山賢太、馬場匡平、松尾栄太郎、村島慎一郎、山口陽介、山下雅樹、山脇慎太郎の9名にて波佐見町田ノ頭郷にて発足。
2019年には小柳勇司、野田洋市、樋渡常司が合流し、12名の理事からなる異業種集団を結成する。波佐見町西の原地区の中心的存在であった故岡田浩典氏は設立当初から相談役として参加。現在も13人目のメンバーとして活動の精神的支柱となっている。
　金富良舎（コンプラシャ）の「コンプラ」とはポルトガル語の「コンプラドール（comprador）」に由来するもので、「仲買人」という意味。波佐見町を拠点に、アート×窯業、デザイン×農業、仕事×高校生、波佐見×海外など、ヒトとヒト、モノとモノとをつなげ、地場産業と異業種のコミュニティの輪を創出し、波佐見発信の新しい文化や価値観を作り出すことを目的とした事業を展開している。
2019年4月に同町宿郷の旧銀行跡を改修し「交流・事業・文化」の拠点として、町内外の垣根を越えた活動へと動き始めている。
(HPより抜粋)
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中学生や小学生向けの教育プログラムをやりたいです。
町の産業について知識を得てもらう機会をつくりたくて。
波佐見焼きは大部分が分業なのですが、それについて全く知らない子も多いんですよ。
自分の親が何をやっているかとかも分からないし、そのシステムをよく分かっていないから、総称して“焼物やさん”になっているんですね。
そこを「こういう仕事があるよ」と具体的に紹介していきたいです。
その中にはもちろん波佐見町の産業の仕事もあるし、
波佐見町という枠を超えて、プロ野球選手を呼んで“プロ野球の仕事とは”だったり、
外部講師を招いて“パイロットの仕事とは”“キャビンアテンダントの仕事とは”という話もしていきたいですね。
波佐見町だけに留まらず、色んな選択肢があることを見せていきたいんです。
その中で選ぶのは本人たちだから、産業に魅力を感じる子も出てくるかもしれないし。
選ぶチャンス、その為の情報を与えていきたいです。