Issue 2023.12

Issue 2023.12

デザイン塾で制作する、テーマ自由のオリジナル冊子。受講生4名の学びの成果をご紹介。

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2016.7.20

Report: 池島レトログラフィ vol.4

日々刻々と変わりゆく池島の姿を毎年撮っていこう。
そんな想いで訪れる池島レトログラフィ。

「アジサイが物語る人々の暮らし・炭鉱の島の“現在”を歩く」と題し、
アジサイの咲く季節に行くことにしています。
草木が生い茂る廃墟の中に、ふわっと浮かび上がるアジサイの花…。
そこに、かつて住んでいた人々の気配が感じられるからです。

2016年6月12日(日)。
4回目となる今年は、総勢24名で池島の「いま」に会ってきました。

今回、なんとクリエイティブツアーへのご参加が10回目となる方が2名もいらっしゃいました!
バスの中で、ささやかながら記念品の贈呈。
Eさん、Yさん、いつもありがとうございます。^^

池島レトログラフィ

梅雨らしく、そぼ降る雨にけむる池島。
雨のしずくを湛えて、しっとりと瑞々しく咲き誇るアジサイ。
建物を飲み込まんと枝葉をのばす緑も、水を得て生き生きと。
自然の濃密な生命力が、辺りに満ちみちています。

池島レトログラフィ 池島レトログラフィ 池島レトログラフィ

雨降りの撮影は大変でしたが、普段であれば、なかなかカメラを持ち出そうとは思わない状況の中、
いつもとは違う1枚が撮れたのではないでしょうか。

池島レトログラフィ 池島レトログラフィ 池島レトログラフィ

少しずつ施設が解体・撤去され、変わってしまった景色もあれば、昨年と同じように出迎えてくれる風景も。

池島レトログラフィ 池島レトログラフィ 池島レトログラフィ

ボリュームたっぷりで、どこか懐かしい味のする、かあちゃんの店のトルコライスは安定の美味しさでした。

池島レトログラフィ 池島レトログラフィ

そして、新しい生命との出会い。

池島レトログラフィ

池島を巡った皆さんの胸には、一体どのような想いが去来したのでしょうか。

池島レトログラフィ

参加者の皆さん、雨の中、大変お疲れ様でした。
ご参加いただき、本当にありがとうございました!
ぜひまた来年もご一緒に、池島の「いま」に会いに行きましょう。

 

ツアー行程のもっと詳しい内容については、過去のツアーレポートをご覧くださいませ。

「池島レトログラフィ vol.3」ツアーレポート

「池島レトログラフィ vol.2」ツアーレポート

 

 

池島フォトギャラリー

クリエイティブツアーに参加される方は、カメラ好きの人がとても多いです。
他の方々が、何に心を動かされ、シャッターを切っていたのか、どんな写真を撮っていたのか、
ちょっと気になりませんか?
そこで、参加者の皆さんが池島で撮られたお写真をここでお披露目してはどうかと考えました。
今回初の試みであるプチ・フォトギャラリー。
素敵なお写真を投稿していただきましたので、どうぞお楽しみください。
講師の石川博己による一言コメント付きです。^^

 

【1】M.Eさん 男性(Nikon D60 /digital)

池島レトログラフィ

『 雨 』

1年目の霧の池島、「過去と現在が入り乱れる島」と称したイメージがとても強く残っていて、
去年の綺麗に晴れた池島はなぜか余り現実味がなく、
そして今年の雨の池島はとても色鮮やかに、この3年間で最も「現在」を感じました。

〈石川コメント〉

大きな葉にころんと転がる水滴、躍動感がありますね。
「現在」の池島の生命力を感じる一枚です。

 

【2】K.Mさん 女性( /digital)

池島レトログラフィ

『 それでも猫は 』

足早に去っていく猫を見て、変わってしまったのは人間の暮らしだけなんだと改めて思いました。
植物や建物が雨で濡れていたほうが、写真に納めた時に池島の雰囲気が伝わる気がしました。
雨も良いものです。

〈石川コメント〉

人はいなくなってしまっても動物たちにとっては我関せずですね。
緑を背景に撮られた猫の構図はすばらしいですね。穏やかな気持ちになる一枚です。

 

【3】T.Mさん 男性(Rolleiflex minidigi AF5.0 /digital)

池島レトログラフィ

『 no title 』

自分はカメラらしいカメラもなかったのですが、問題なく受け入れていただき大変嬉しかったです。
なかなか始められなかったカメラへのきっかけになりそうな気がしています。

〈石川コメント〉

ちょっと怖い感じの雰囲気ですが、ここが一番印象に残ったようですね。
確かに僕も最初見た時は「うわっ」と思いました。これからもぜひ写真撮ってください!

 

【4】M.Nさん 女性(Canon EOS Kiss X4 /digital)

池島レトログラフィ

『 残しておこう 』

亡き父が炭鉱夫として働いていた池島。
いつ、どのくらいの間働いていたのかはわからないけれど、私にとっては亡き父の足跡を辿る思いでした。
沢山の人が暮らしていた証が年月と共に少しずつ無くなっていく。消えてしまう前にその証を残しておきたい。
そんな気持ちで撮りました。
雨だからこそ撮れた1枚だと思っています。

〈石川コメント〉

この道もお父さんは歩いていたんでしょうね。
水たまりに写った景色がさらに遠い過去を映しているようです。

 

【5】H.Tさん 男性( /digital)

池島レトログラフィ

『 新築 “みどりの蔦アパート” 』

今まで踏み入れたことのない地へ行けたことに誠に感謝しております。

〈石川コメント〉

初めて来た人はみなさんこの自然のすごさを目の当たりにしてびっくりします。
「すごいなぁ〜」という感動がそのまま写真になってますね。

 

【6】S.Yさん 男性(Canon EOS 650 /film)

池島レトログラフィ

『 大きな紫陽花にビックリ!! 』

始めいろいろ見ながらアパート群の真ん中に大きな紫陽花にビックリ…
うちも炭鉱のあとに咲いてる紫陽花も大きいと思ったのに遥かその上を…
人が居なくなっても咲き続ける紫陽花を見て涙が出ました!!

〈石川コメント〉

荒廃した建物は自分を引き立たせる背景だと言わんばかりに咲き誇っていますね。
下からの構図がさらに存在感を強調しています。

 

【7】M.Mさん 女性(OLYMPUS PEN E-PL6 /digital)

池島レトログラフィ

『 そんなに近づかれると… 』

今まで動物の写真を近づいて撮ろうとすると、一目散に逃げられたり
タイミングがつかめず撮れないということがありましたが、
池島の猫は人が来てもこのようにじっとしている状態が続いていたのでびっくりして撮った一枚です。
もうちょっと猫の目線で撮れたら良かったなと思いました。

〈石川コメント〉

猫に勝る被写体なし、です。

 

【8】C.KOさん 女性(Nikon D3100 /digital)

池島レトログラフィ

『 池島の今を生きる 』

炭鉱アパート内、一本入った脇道で出会った猫。
道の真ん中に座りこちらを見つめてくるこの子を追えば、大きなアジサイが咲いていました。
まるで、ここにアジサイがあるよと教えてくれているんじゃないか、
そう思ってしまうほど、池島は神秘的で不思議な雰囲気を感じさせます。
人間が作り出したものを簡単に呑み込んでいく自然の残酷さには、ただただ圧倒されるばかりでした。
開いたままの窓や乗り捨てられた車、廃墟となって15年も経つのに、
つい最近まで人がいたようなどこか生々しい感じを怖く思う反面、とても魅かれます。
力強い自然も、朽ちていく廃墟も、来年はどうなっているのか、またこの目で確かめたいと思いました。
ありがとうございました。

〈石川コメント〉

絵画のような構図ですね。これ以上ない猫らしい姿。
フレームから落ちてくるような右のあじさいと左の猫の位置関係、完璧です!

 

【9】K.Sさん 男性(Canon 60D /digital)

池島レトログラフィ

『 共存 』

当時の記憶が止まったままの場所。
そこに覆いかぶさるように伸びていく自然と時間の流れ。
別々の時間が共存するように見える場所でした。

〈石川コメント〉

あじさいに目をやるとそこには猫が。
猫が入るともう何も言うことなしです。

 

【10】A.Yさん 女性(SONY Cyber-shot DSC-RX100 /digital)

池島レトログラフィ

『 no title 』

五島からの参加で、写真のこともよく知らず、不安で一杯でしたが、
先生をはじめ、参加者の皆さんが気さくで親切で、とても楽しく過ごすことができました。
皆さんありがとうございました。

〈石川コメント〉

道がきれいに清掃されているのも池島らしさ。この一枚はなるほど!と思いました。

 

【11】S.Iさん 男性(Leica Z2X /film)

池島レトログラフィ

『 過去への扉 』

クリエイティブツアー初参加になります。
池島では過去との繋がりを表現したいと思っていましたが、
なかなか思うようにシャッターを切ることが出来ませんでした。
普段から、雨の日にわざわざ出かけて撮影をしたことがなく、どう撮っていいのか全く分からなかったからです。
戸惑いながら歩いていた時に目に留まったのが、この水たまりです。
この水たまりに踏み込んだら、かつて賑わってた頃の池島にタイムスリップ出来そうな気がしましたので、
シャッターを切りました。
写真講座、クリエイティブツアーで、テーマを決めて撮る難しさを実感しました。
また、機会がありましたら参加したいと思っています。

〈石川コメント〉

モノトーンの表現に「炭坑」感がありますね。
建物の角度とアスファルトの白い線が同じ角度で、アートのような一枚ですね。かっこいいです。

 

【12】C.KAさん 女性(Nikon FE /film)

池島レトログラフィ

『 no title 』

今年はあいにくの雨で移動も散策も大変でしたが、去年とは違った池島を見ることができて良かったです。
是非また次回も参加したいと思います!よろしくお願いします!

〈石川コメント〉

あーこの色はいいですね。好きなトーンです。
ふわっと霧のような水蒸気まで写っています。

 

【13】Y.Hさん 女性(Leica D-LUX3 /digital)

池島レトログラフィ

『 空とわだち 』

池島の郷地区を歩く。今は誰も住んでいないけれど、かつてはメインストリート。
雨粒がどんどん大きくなった。打ちつける音も大きくなった。
下向き加減で通りをすすみきったところに、ふと視界にはいったわだち。
追いかけると妙に明るい雨空が続いている。不思議な安堵感。
かつて一日の労働を終えた池島の鉱員さんたちも、空をみた時にそう感じたかもしれないと思った。

〈石川コメント〉

目に見えないものを写し取った一枚ですね。意味のある写真ですね。

 

【14】M.Yさん 女性(FUJIFILM X-T1 /digital)

池島レトログラフィ

『 no title 』

雨でしたがしっとりとしたあじさいがとてもキレイでした。

〈石川コメント〉

多重露光のような2枚の景色がひとつになった写真ですね。
彩度の低いトーンが静かで美しい印象になっています。うまいですね。

 

*お写真を投稿してくださった皆さま、本当にありがとうございました!