Issue 2023.12

Issue 2023.12

デザイン塾で制作する、テーマ自由のオリジナル冊子。受講生4名の学びの成果をご紹介。

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2011.4.1

くろくも舎=松原真紀さん

くろくも舎=松原真紀さん

紙とナイフで作り出す、切り絵の先にある光。

動物や可愛い女の子、きれいな風景…。滑るようになめらかに切り抜かれ、命を吹き込まれた躍動感あふれる切り絵の数々。その作り手はくろくも舎・松原真紀さんだ。「子どもの頃から絵を描くことが好きだったんです。ずっと地元・八女の町家に憧れていて、その和の雰囲気に合うものを考えていたら切り絵にたどり着きました」。約1年前に引越をして自身も町家に住むようになってから、ますます制作に力が入り、今では自宅の一部を使って不定期で展示会も行っている。今春の展示に向けて制作を行ったのが「花と女の子」をテーマにした作品群。細かな図案をナイフひとつで切り抜いていく。「地味な作業ですが、後ろ紙を敷いて、額装した瞬間に疲れは飛んでいきます。いつか作品を見ただけで私が作ったものだとわかってもらえるようになりたいです」。切り絵と言えば黒い紙のイメージが強いが、松原さんは「1枚の紙を切り抜くこと」を守り、あとは自由に思うままに制作する。白い紙を切り抜き、後ろに美しい色合いの和紙を敷く。モビールなど立体作品に仕上げる。後ろから照明をあてる。様々な手法で松原さんの世界観が切り絵の可能性を切り開いている。

くろくも舎=松原真紀さん

下絵を描いてデザインナイフで切り抜く。「紙は地元の和紙を使うことが多いです。切り心地もいいし、風合いが気に入っています」。

くろくも舎=松原真紀さん

お子さんの七五三の時の写真を切り絵に。紅い紙を切り抜き、後ろから光をあてた幻想的な作品。

くろくも舎=松原真紀さん

一軒家を改装して、自宅兼ギャラリーに。レトロな雰囲気が残る展示場に作品が並ぶ。角度や光の加減で作品の表情は変わる。

くろくも舎=松原真紀さん

ギャラリー内には松原さんの作品が展示されている。購入することも出来る。

くろくも舎=松原真紀さん

くろくも舎=松原真紀さん

Profile

くろくも舎=松原真紀さん

松原真紀(まつばらまき)
「ギャラリエ くろくも舎」にて切り絵を制作中。名刺やパンフレットなどのビジュアルを受注することも。JR筑後船小屋駅の扉には作品が使用されており、いつでも見ることができる。
住/八女市本町154 問/090-5021-4718

写真=石川博己 文=生野朋子