東欧へ旅した想い出を伝えたい。そうして生まれたこだわりの空間。
福岡の中心地から少し離れた六本松に、東欧に魅せられた津留さんが営む雑貨店picnika(ピクニカ)がある。元々は下宿だったという古民家を改装したレトロな空間に足を踏み入れると、ポーランドやチェコ、ハンガリーなど、数カ国の生活雑貨がずらりと並ぶ。「たまたま古本屋で見つけた絵本を見たことがきっかけで、東欧に興味を持ったんです」。いつか行きたいと思っていた東欧へ旅立ったのは5年程前。23歳の時だった。「初めて行った時に、これから自分はここの文化を広めていくだろうなぁという予感がしていたんです」。そんな思いを抱え、1ヶ月半に渡り4カ国を回った津留さん。旅した地で、その国々の雑貨の持つ風合いやデザインに魅せられ、帰国時には大量に持ち帰っていたという。「文化の違いでそれぞれに違った良さがありますが、お皿、布、刺繍など、その国の人たちの生活に密着した雑貨は、少しやぼったくて飾らない素朴な所が共通の魅力的だと思っています」。各国のものでも、自身が良いと思うものを揃えているのでディスプレイの雰囲気はまとまるという。旅の残り香が感じられる店内は、津留さんの旅の想い出とこだわりに満ちあふれていた。
各国で買い付ける雑貨は、食器や伝統的な刺繍以外に、その国のおばあちゃんが編んだ手編みのルームシューズなどの素朴なものも。
買い付けのため、年に1〜2度東欧へ渡るという津留さん。東欧での想い出は何冊ものアルバムに収められている。
絵皿やカップ&ソーサーなどの食器やカトラリーが多い店内。津留さんのテーブルコーディネートのセンスが光る。
Profile
- 津留慎太郎(つるしんたろう)
- 東欧旅行がきっかけで、帰国後の2007年8月に雑貨店をオープン。チェコ語教室や東欧の企画展を行っており、東欧に興味を持つ人が集う場所にもなっている。
住/福岡市中央区谷1-10-3 2F 問/092-400-0587 http://picnika.net/
写真=石川博己 文=原口昌子