2017年9月14日(木)。
やきものの里、長崎県波佐見町へ行ってまいりました。
今回のツアーは「波佐見×くらし×そうぞう」と題し、
波佐見町でクリエイティブに働く方々の仕事場を訪ね、
「もしも自分自身がこの町でクリエイティブに生きるなら…?」という可能性も想像しつつ
楽しんでいただこうという企画です。
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それでは、波佐見での「創造」的な「暮らし」を「想像」する旅へ、出発〜!
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まずは「波佐見空き工房バンク」の事務所でオリエンテーション。
今ツアーをコラボしてくれた「波佐見空き工房バンク」の福田奈都美さんは、3年前に波佐見町へ移住。
地域おこし協力隊として、使われなくなった波佐見焼の工房をリノベーションして甦らせ、
作家さん等とマッチングさせるお仕事などをされてきました。
この事務所「みんなのアトリエはざま」も、元々は波佐見焼の生地屋さんの工房をリノベーションしたもの。
ビフォー・アフターがわかるように、以前の面影も残しながら、
かつて使われていた道具なども活かし、自分たちでDIYもしたそうです。
やきものを運ぶための皿板をベンチに作り替え、
ドロドロの陶土をためておく、床に埋められた瓶には植物を生け込み、
壁にタイルを一つひとつ貼り、天井からはドライフラワーがセンス良く吊るされ、
アトリエのような雰囲気の、とてもステキな空間に生まれ変わっています。
レンタルスペースとして、ワークショップやマルシェなども行っているのだとか。
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ここで福田さんから、波佐見焼のことについても説明していただきました。
一般的なイメージの「やきもの」と違って、波佐見焼の多くは分業制でつくられています。
型屋・生地屋・判子屋・転写屋・窯元・商社…など、
それぞれのプロフェッショナルの手を経て、私たちのもとに波佐見焼の商品は届けられているのです。
そんな職人さんたちの「いつもの働く姿」を見られるようにと、開催も平日となりました。
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波佐見町役場の方と、陶芸家であるスタジオワニの綿島健一郎さんもご同行くださいました。
綿島さんもまた波佐見町への移住者で、今年の1月まで「光春窯」さんで働いていて、
現在は独立し、空き工房バンクを活用して、自分の工房をつくっている最中なのだそう。
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最初に見学させていただいたのは「福嶋石膏製型」さん。
波佐見焼の器の原型となる、石膏型をつくられています。
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実際に現物の型や作業を見ながら、工程などを教えていただきました。
焼成すると縮むため、焼き上がりの寸法を考えて、型をつくらなくてはなりません。
持ち込まれる図面や指示の方法も、本当にさまざま。
それに応える、長年の経験と勘に裏打ちされた手作業。圧倒されます。
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「パーツ数が多くて大変だったもの」「一番厄介な図面は…」等々、ざっくばらんに話してくださり、
面白い内容に興味が尽きませんでした。
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時間に少し余裕があったので(クリエイティブツアーとしては珍しいことに!)
波佐見焼のお店・アイユーさんに立ち寄ります。
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お買い物を楽しんだ後は、お待ちかねの昼食です。
川内郷のホタル会館へと移動。
食欲をそそる品々を前に、思わず歓声が上がります。
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波佐見の新鮮な食材を使った手料理でもてなしてくださったのは、地元のお母さんたち。
オシャレなお店が立ち並ぶスポット「西の原」で、おにぎり屋さん「にぎりめし かわち」もされているそうです。
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山菜の天ぷら(ミョウガの天ぷらは初めて食べました!)、
手作りのお味噌を使ったゴーヤの味噌炒め、川の水が綺麗なので自生しているクレソンのサラダ、
なすびご飯(これまた初めて!)、生春巻き、お煮しめ、手作りのお漬物4種などなど…。
身体も喜ぶヘルシーメニューの数々。
どれも優しいお味で、とても美味しかったです。ご馳走様でした!
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滋味深いご飯でお腹を満たした後は、次の見学場所「福田生地」さんへ。
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生地屋さんでは、型屋さんでつくられた型をもとに、器の基本となる生地をつくっています。
器の形状に合わせ、機械ロクロや鋳込みなど、様々な方法で製作されていました。
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目の前で繰り広げられる繊細な作業を、息を詰めて見守ります。
絵付けのされていない、白い器が整然と並べられている様には、清浄な神器を祀っているかような
神聖な美しさがあり、なんとなく厳粛な気持ちになるのでした。
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続いて、食品サンプルをつくられている、日本美術の野田さんの工房へ。
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こちらは「空き工房バンク」の活用・第一号だそうです。
この場所を選んだ決め手や、どのようなリノベーションをしたのかなどもお聞きしました。
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まるで本物かと見紛うような、精巧につくられた食品サンプルにテンションが上がります!
なんというシズル感でしょうか。
山のように積まれた唐揚げ、パスタに海鮮、スイーツなどが所狭しとテーブルを埋め尽くし、
夢の世界のパーティーのようです。
「これぞインスタ映え!?」とばかりに、食品サンプルでデコレーションされた帽子を被っての自撮り大会も。
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野田さんに、ロウを使って天ぷらやレタスのサンプルをつくる実演を見せていただき、
参加者数名も、サンプルづくりにチャレンジしました。
ロウは熱に弱いため、実は、現在の食品サンプルはビニール樹脂でつくられている…という事実を聞いてビックリ。
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最後は、中尾山の散策です。
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ここは江戸時代から現在に至るまで、連綿と窯業が続けられてきた集落。
多くの窯元が残っており、貴重な文化財が保存され、
地域全体が「やきもの」一色に染まったような雰囲気のあるところです。
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「はさみ観光ガイド協会」の石原さんと小柳さんにご案内いただき、
波佐見焼の約400年もの歴史の一端に触れながら歩いて回りました。
橋の欄干など、まちの随所に陶器があしらわれていて、
「さすが、やきものの郷!…こんなところにまで!」と感嘆しつつ、坂道を上ったり下ったり…。
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復元された、国指定史跡の「中尾上登窯跡」も見学。
窯室は33室を有し、全長160メートルにも達する、世界で2番目に大きい登り窯。
日用食器の大量生産を可能にした、波佐見焼のシンボル的存在です。
なんと、世界第1位の大きさを誇る「大新登窯跡」も、ここ中尾山にあるんだとか。
(ちなみに第3位も、波佐見町内にあるそう!)
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往時を偲ばせる、趣のあるレンガの煙突。
それがもう使われていないことを物語るように、てっぺんから顔をのぞかせている草木。
密集する家々の間を縫う、迷路のような路地裏。
しっとりと雨に濡れ、湿り気を帯びて静かに佇む町並みもまた、とても風情がありました。
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ぐるりと散策した後は、二手に分かれて
窯元の「光春窯」さん「一真窯」さん、お一人で工房を切り盛りされている「藤田生地」さんなどを巡りました。
それぞれに特色があり、初めて見る光景、初めて聞くお話ばかりで興味深かったです。
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ピンと張り詰めた空気のなか、自分の仕事に黙々と真剣に打ち込む職人さんの姿。
普段、なかなか見ることのできない、ものづくりの現場を間近で見せていただくことができ、
本当に感動しました。
お忙しい中、作業の手を止めて、丁寧にご対応くださいまして、ありがとうございました!
とても貴重な経験となりました。
そして、開催に際し多大なるご協力をいただきました、波佐見空き工房バンクの福田さん、
波佐見町役場の方々、
温かく迎えてくださった工房の皆さんと日本美術の野田さん、
一日同行して、陶芸家としての立場から分かりやすく説明してくださったスタジオワニの綿島さん、
おいしいご飯を振る舞ってくださった川内郷のお母さんたち、
楽しいお話で波佐見のことを教えてくださった、はさみ観光ガイドのお二人、
大変お世話になりました!感謝の気持ちでいっぱいです。
また、安全に運行してくださった「姪浜観光バス」さん。
天気予報に反して午後までぱらつく雨のなか、皆さんに傘までお貸しいただき、
すごく助かりました。
いつも気持ちの良い気配り、ありがとうございます。
最後に、参加者の皆さん、大変お疲れ様でした!
一緒に旅することができて嬉しい限りです。
平日にも関わらずご参加くださり、ありがとうございました。
その土地に根付いた生業を知ることで、まちのことがより身近に感じられて、
すっかり波佐見町のファンになってしまったのではないでしょうか?
皆さんの心のなかに、何かクリエイティブの種や、ワクワクする未来のイメージを描くヒントが
見つかっていたら良いなぁと願ってやみません。
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