昨年の4月に引き続き、2回目となる平戸レトログラフィvol.2を5月17日(日)に開催。
「光をみつける旅・美しく荘厳な教会群を巡る」と題し、
明治、大正、そして昭和初期に建てられた4つの教会を巡りました。
長い歴史を通して育まれた風景のなかに実際に身を置き、
その土地の風土や文化、人々の暮らしに思いを馳せながら…。
予報では雨かも…と心配していたのですが、お天気にも恵まれ一安心。
さぁ、バスに乗り込み、平戸へと向かいます。
運転手さんは伊都バスの田中さん。今回、初めてお世話になりました。
バスの中では、参加者の皆さんに自己紹介をしていただきます。
クリエイティブツアーに参加される方々はカメラ好きの人が多いので
今日はどんなカメラを持ってきたのかについても話していただきました。
青空に映える朱色の平戸大橋を渡って、平戸島へ!
本日、ガイドを務めてくださるのは、昨年と同様、平戸ウェルカムガイドの髙田さん。
元気で明るい語り口と豊富な知識、そして、ご自身がクリスチャンだからこそ聞けるお話で
楽しくガイドを務めてくださります。
しかも、参加者が写真を撮ることにも配慮してくださり、さすが!の一言。
皆さん、色々なカメラをお持ちです。
どんな写真を撮られるのでしょうか…?気になります。
一つ目の目的地は、平戸ザビエル記念教会。
いくつもの尖塔と、淡いグリーンの外観。まるで西洋のお城のような教会です。
今日は結婚式が行われるということでしたが、特別に教会内部を見学させてもらい、
それから外観をしっかりと撮影させていただきました。
続いては、石畳の階段を下って、平戸名所の「寺院と教会の見える風景」へ。
まるで合成したかのように、寺院の瓦屋根の向こうに見える、十字架を戴く教会の姿。
日本と西洋の文化が織りなす平戸の代表的な景色の一つです。
このツアーを編集した際のテーマのひとつは
【見たこともない教会をつくる】という、その創造性を見ることです。
江戸時代、幕府はキリスト教を禁じる禁教令を出して教会を破壊。そして200年以上にわたる鎖国…。
明治に入り、信仰の自由が認められた信徒たちの切なる願いは、祈りの場である教会を建てることでした。
長く禁教下にあった日本人にとって、教会がどんなものなのか知る由もありません。
日本の建築技術に長けた大工といえども、全く未知の建物をつくるのは至難の業だったでしょう。
日本人大工たちは、従来の日本の技術の範囲内でその形態をイメージし、
まさに“創造”していかなければなりませんでした。
いかに表現すべきか苦労しながらも、豊かな発想と創意工夫で、
西洋の建築様式と日本の伝統技術が融合した独自の教会をつくりあげていったのです。
そして、長崎の教会建築において「この人抜きには語れない」といわれる人物がいます。
それが鉄川与助(1879-1976)です。
彼は外国人神父の指導のもと、見ず知らずの西洋建築技術を習得し、自ら設計・施工し、
教会建築を完成の域にまで到達させました。
木造、煉瓦造、石造、鉄筋コンクリート造と、常に新しい教会建築に挑戦。
心血を注いでつくりあげた教会は、いくつも国の重要文化財、県の有形文化財に指定されています。
そんな鉄川与助の代表作ともいえる教会が、二つ目の目的地であるカトリック田平教会です。
国の重要文化財に指定されており、また世界遺産候補にもなっています。
赤煉瓦が美しくも重厚な教会で、多彩な煉瓦積み手法を駆使した緻密なデザインが見所。
瓦屋根と煉瓦の壁という、和と洋の融合も素晴らしいです。
内部は教会として最も完成された形態を持ち、美しいステンドグラスも目を引きます。
通常、教会内部の撮影は禁止されていますが、
本ツアーでは特別に許可をいただき、内部の撮影をさせていただきました。
なかなか個人ではできないということで、参加者の皆さんも感動されていました。
しかし、世界遺産に登録されれば、このように撮影することも難しくなるでしょうとのことです。
そろそろ、お腹の虫も鳴き始める頃。
宝寿司さんに向かい、お昼ご飯を頂きます。
平戸の新鮮な海の幸を堪能いたしました。
ごちそうさまでした!
お腹も満たされたところで、三つ目の目的地へ。
赤と白のコントラストが鮮やかで、とても可愛らしいカトリック宝亀教会。
緑に囲まれた静かな高台に建つ、平戸市内で最も古い教会で、
両側面にバルコニー風のアーケードがあるなど、珍しい構造をしています。
内部は淡い緑色や水色、黄色のパステルカラーに彩られて優しい雰囲気。
100年以上前に建設された当時のままのステンドグラスは、
ステンドグラスというより「色硝子」といった方がピッタリな素朴な風合いです。
(こちらでも特別に内部撮影の許可をいただきました。)
続いて、四つ目の教会、カトリック紐差教会へ。
ロマネスク様式の壮大な白亜の教会で、平戸市内で一番大きい教会です。
鉄川与助のつくった鉄筋コンクリート造の教会で、
幾何学模様と花のレリーフで埋め尽くされた折上天井に、与助の独自性が見られます。
ステンドグラスから射し込む光でピンク色に染まった堂内は、胸を打つ美しさです。
(特別に許可をいただき、内部を撮影しています。)
五つ目の目的地は、かくれキリシタンの里・根獅子です。
現在は、かくれキリシタンの方々は解散していませんが、当時使われていた納戸などが
そのまま残っている古い家屋を見学させていただきました。
普通はなかなか見ることのできない場所です。
かくれキリシタンの昔の生活を垣間見ることができました。
こちらでは、根獅子集落機能再編協議会事務局長の川上茂次さんが案内してくださったのですが、
この方の、まー話の面白いこと!
予想だにしない抱腹絶倒の時間となりました。
帰りがけに見た根獅子の海の美しさ。
最後に大きな感動をもらいました。
平戸のお土産を買って、福岡へと戻ります。
美しい根獅子の海で作られた美味しい塩。
激甘!と噂のカスドース。(テレビで紹介されて、東京でも人気が出たとか。)
平戸銘菓の牛蒡餅などなど…。
参加者の皆さん、一日お疲れ様でした。
皆さんのご協力のおかげで、無事にツアーを終えることができました。
車中でも、和気あいあいとした雰囲気で良かったです。
ご参加いただき、ありがとうございました。
帰りのバスで皆さんから感想をいただきましたが、
それぞれに、感動や学びを得られたとのこと、
そして、とても楽しかったと言ってもらえて、本当に良かったです。
爽やかな青空のもと、きっと良い写真もたくさん撮られたのでしょうね。
ぜひ見せていただきたいです。
最後に
教会内部の撮影許可の取り付けなど、多岐に渡りご協力をいただきました平戸市観光課の里村さん、
豊富な知識と楽しい話術で一日案内してくださったガイドの高田さん、
かくれキリシタンの里・根獅子の貴重な昔の家屋を面白い語り口調でご説明くださった川上さん、
分刻みのスケジュールの中、無事に運行してくださった伊都バスの田中さん、
本当にありがとうございました。
次のツアーは大人気の池島です。お楽しみに。