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2020.2.22

ウラベ生地 |裏邉彩子さん

個性豊かな双子姉妹の最強タッグ!
それぞれの持ち味や特技を生かし、生地屋の未来を拓く。

波佐見焼は分業制でつくられており、その一端を担っているのが「生地屋」。
「型屋」がつくる石膏型から、素焼き前の生地をつくります。
有限会社ウラベ生地は、昭和30年創業の生地屋さんです。

創業した当時は「排泥鋳込み(袋流し成形法)」という方法で、土瓶や急須を主につくっていたそう。
平成元年頃、現在の社長である二代目になってから「圧力鋳込み」に変わりました。

*「排泥鋳込み」は花瓶や急須、土瓶のような、中が空洞になった袋状の器に適した成形法。中空の石膏型に泥漿(でいしょう:液体状にした陶土)を流し込んで成形します。

*「圧力鋳込み」は皿や鉢などの変形している器を成形するのに適した方法。凸と凹が対になった二重の石膏型にやや固めの泥漿を圧力を加えながら注入して成形。大量に成形する際は、複数の型を積み重ねて一度に鋳込みます。

圧力鋳込みの作業は、まず陶土に水などを入れて撹拌し、1時間ほど練ってから、脱泡機へ。
そして、2キロの圧力をかけながら、重ねた石膏型に流し込みます。
コックをひねると、下から陶土が注入されて、全ての型が満たされます。
器によって時間は変わりますが、約20分ほど置き、型に張り付いている生地にエアーを吹きかけて取り出します。
1日に、500〜600個くらいはつくれるのだとか。

その後は、生地を乾燥させ、仕上げ作業へ。
水を含ませたスポンジで丁寧に拭き上げて、表面を滑らかにします。

こうして成形した生地を窯元さんに納品。そこで素焼き・絵付・釉かけ・焼成などの工程を経て、器は完成します。

仕上げの作業を担当しているのが、裏邉彩子(うらべさいこ)さん。
三代目を担う、双子の姉妹のお姉さんです。

彩子さんは初めから家業を継がれるつもりだったのでしょうか。

「大学で観光学科の地域デザインというコースを選び、観光という視点で町をどうやって元気にするかという、地域振興などの勉強をしていて。
ゆくゆくは自分の町に関わる仕事をしたいなと思っていました。」

旅行と映画が趣味だという彩子さん。今後の目標は?

「昨年、ワーキングホリデーで1年間ほど渡豪していました。
そこで得た知識や経験を生かして、自分たちなりの新たな取り組みを考えていけたらと思っています。

小さいコミュニティだからこそ、この町が好きだという人たちと一緒に何かを興していきたいですし、それが町を元気にしていくことにもつながるのではないかと。

そして将来、子どもたちが都会に出ていっても、やっぱり波佐見が良いなと戻ってきてくれるような場所にしたいですね。」

共に三代目を担う、妹のウラベメグミさんは、絵描きとしても活動しています。

彩子さんの “地域デザインに関する知識と語学力” と、ウラベメグミさんの “新しいものを創っていくクリエイティブな力”を生かし、新しい時代の波も軽やかに乗りこなしていきそうだなと期待せずにはいられません。

──お仕事でやりがいを感じることは何ですか?

「自分たちが関わらせてもらった商品を店頭で目にしたとき、やりがいを感じますね。」

──ウラベ生地さんのPRをお願いします。

「お客さまのご要望にできるかぎりお応えできるように心がけています。小ロットから大ロットまで、ご注文の数にこだわりはありません。」

──波佐見の良いところ、好きなところを教えてください。

「緑豊かなところ。Take it easy な人たちがいるところ。」

──個人的に好きなスポットは?

「いっぱいあります!
ですので、私的オススメ “ 波佐見の一日ゆったり満喫コース ” をご紹介します。」

京千』(素敵なギャラリーを見学) → 藍染窯のカフェ『No.1210』(美味しいコーヒーと焼き物) → 『陶山神社(湯無田郷)』散策 → 『monné legui mooks(モンネ・ルギ・ムック)』でランチ → 『西の原』散策 → 『SPARROWS(スパロウズ)』(お土産・ギフト選び) → 『はさみ温泉 湯治楼』 → お食事処『季泉』(ローカルご飯で締め)

気さくな人柄でみんなの人気者のお母さんも、カフェ『No.1210』がお気に入りだそう。愛犬くーちゃんと一緒に。

*2020年1月インタビュー

有限会社ウラベ生地

長崎県東彼杵郡波佐見町湯無田郷