Issue 2023.12

Issue 2023.12

デザイン塾で制作する、テーマ自由のオリジナル冊子。受講生4名の学びの成果をご紹介。

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2012.6.5

オーキッド(蘭)スタイリスト=内田洋一朗さん

オーキッドスタイリスト=内田洋一朗さん
オーキッドスタイリスト=内田洋一朗さん
オーキッドスタイリスト=内田洋一朗さん
オーキッドスタイリスト=内田洋一朗さん
オーキッドスタイリスト=内田洋一朗さん

暮らしに寄り添う、蘭の造形美。

 蘭といわれて思い浮かぶのは、“派手で豪華な、特別な日に贈られる花”そんなイメージの人も多いだろう。「蘭はもともと、木や岩に根を張り、過酷な環境に生きる強い植物なんです」。そう話すのは、オーキッドスタイリストの内田洋一朗さんだ。人工種も合わせて10万種を超えるという蘭科の植物。はじめて農園を訪れたその時から、野性味あふれる蘭の姿に魅了され続けている。「花には育てる楽しみと器を合わせた造形美の楽しみがあると思うんです。そのどちらを相手が優先するかで、提案の仕方を変えていきます」。根をむき出しにした蘭をコルクに着生させたり、絵画のように蘭を額に入れたりと、内田さんはさまざまな提案を試みる。そして蘭との生活をより長く楽しんでもらうために、届ける前に相手のライフスタイルや生活環境を詳しく聞き、蘭の状態を整える。「届けるまでに時間がかかってしまうけれど、大切なこと。作り置きはしたくないんです」。一年を通してあらゆる種類の蘭が芽吹き、花開く。「当たり前にあるささやかな喜びを、多くの人に感じてほしい。そのために、もっと蘭の魅力を伝えていきたいですね」。植物を育て、愛でること。そこから生まれるゆとりのある暮らし。蘭の魅力がまたひとつ、花開いてゆく。

枯れてしまったように見えても、数日後にはきれいな花を咲かせる蘭の生命力。

さまざまなオーダーに応え、鹿の頭蓋骨にも着生を試みている。

コルクや木の板に蘭を着生させる。工具を用い、根がしっかりと巻き付くまでは針金を使って固定。「通り過ぎる人は花屋だと気付かないみたいです」と、内田さん。

オーキッドスタイリスト=内田洋一朗さん

内田さんの手にかかれば、植物はただ飾るだけのものではない。植物の特性を理解しているからこそ、まるで芸術作品のように独創的な魅せ方ができるのだ。

Profile

内田洋一朗(うちだよういちろう)
蘭とグリーンの店 PLACER WORKSHOP(プラセール)の店主兼オーキッド(蘭)スタイリスト。ライフスタイルに合わせた、蘭とグリーンのある生活を提案している。大名のマヌコーヒーでも展示販売中。住/福岡市南区玉川町18-8-1F 問/092-511-3729 http://www.placer-workshop.com

写真=柳田奈穂 文=加治屋愛子