Issue 2023.12

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デザイン塾で制作する、テーマ自由のオリジナル冊子。受講生4名の学びの成果をご紹介。

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2014.12.16

Report: 西新フォトツアー vol.2 ①

建築家・井上聡氏による「西新フォトツアーvol.2」のツアーレポートを全3回にわたってお送り致します。
(写真は参加者の皆さんが撮影されたものです。)

「西新フォトツアー」第二弾、vol.2を11月の3連休最終日、24日に行いました。
ご参加くださった総勢13名と、楽しく西新商店街をツアーできました。
前回の西新フォトツアーvol.1ではアートディレクターで写真家である石川博己が案内人を務めましたが、今回は建築家のイノウエサトルにバトンタッチ。
建築家が案内するフォトツアーのレポートは、全部で3回に分けて連載(っぽく)お伝えさせてもらいます。

西新フォトツアー

1.街を楽しむ能力を身につけるフォトツアー
2.高取焼味楽窯で出会う西新エリアの今昔
3.西新商店街の色

今回は「1.街を楽しむ能力を身につけるフォトツアー」と題し、建築家である僕がクリエイティブツアーはじめ、こうしたフォトツアーになぜ参画するのか、簡単にお話したいと思います。
僕は以前にも、クリエイティブツアーの案内人を務めたことがあります。今回のフォトツアーは案内人として、2回目の経験となります。
僕は大学で非常勤講師として学生に建築を教えています。100人近い学生がいますが、卒業後に建築やデザインの世界に身を投じる学生はそう多くないのです。
では別の仕事に就いたとしても、建築やデザインを学ぶ意義はどこにあるのか。それは、建築的視線や思考を身につけることで、人生はより楽しいものになるからだと教えています。
例えば、自分が住む街や観光などで訪れる街を深く知ることは、最高のエンターテインメントなのです。
観光ガイドブックやWikipediaに載っていることを読むことにとどまらず、自分なりにその街を分析し、解釈したり何かを発見することができれば・・・さらにそれを楽しいと感じることができれば、人生はより豊かなものになると思うのです。

西新フォトツアー

ではそうした視線や思考・・・街を深く楽しむ能力は、大学や専門学校で建築を学んだ人にしか身につけられないのでしょうか。
僕は、誰もがスイッチをもっていて、そのスイッチがオンになりさえすれば街がいつもと違って見えてくるはずだと思っています。
「カメラをぶらさげて街にでる」ことは、そのスイッチを入れるもっとも簡単な方法です。
そうした意味で、感度の高いアートディレクター・写真家の石川博己が企画するクリエイティブツアーは、ただのツアーではなく、「人生の楽しみ方」を身に付けることができる、素晴らしいものだと思います。

西新フォトツアー 西新フォトツアー

特に今回のフォトツアーは、「風景を創りだす」ことを生業としている建築家が同行することで、街を楽しむ能力を身につけるお手伝いをすることが目的の一つでした。
繋がりを写そう」をツアーのテーマに設定したのは、その作業を通して、写真を撮ること自体ではなく、写真を撮ることを通してもっと街を掘り下げる・・・そんなことができないかなと思ったからなのです。

西新フォトツアー

さて、次回はいよいよツアーの内容についてレポートしたいと思います。タイトルは「2.高取焼味楽窯で出会う西新エリアの今昔」。
高取焼をご存知ですか?福岡を創った黒田藩の御用窯として長い歴史を誇る高取焼の味楽窯が西新商店街のすぐ近くにあります。
西新商店街のツアーなのに、なぜ高取焼の窯がでてくるの?と思われるかもしれませんが、案外、対象地から少し離れたところにその本質が潜んでいることがあるのです。

それでは次回をお楽しみに!