重ねてきた年月を途絶えさせない、次につなげる橋渡し。
子どもの頃にどこかで見たようなガラスの器や、古びた木の椅子など、昭和30年頃の生活雑貨や家具が並ぶ「古道具るごろ」。骨董ではなく“古道具”と呼ぶ品々は、どれも身近に感じるものばかりだ。散歩の途中に偶然見つけたという、古いアパートを自ら改装した店は、その雰囲気の良さが評判を呼び県外から訪れる人も多い。「ずっと来たいと思っていて今日やっと来ることができました、と言ってくれた方もいました。とても嬉しいですね」。もともとは中古レコード店に勤めていた北岡さんが、るごろを開いたのは2007年。店内にはジャズが流れ、生活雑貨や家具以外に古いレコードも並ぶ。店名の“るごろ”は、ジャズ編曲家の名前の響きが良かったことから付けられたが、綴りは“lugoro”と書き、本来の綴りとはLとRが逆になっている。「LとRを入れ替えているのは右から左へ、左から右へつながっていく様子をイメージしています。古いものを捨てないで、次に伝えていく橋渡しができればと思って」。古道具の魅力は新しいものにない形や色の味わい、そして使っていると、心が落ち着くところだと語る北岡さん。長い年月を経た古道具は、次の持ち主をひっそりと待っている。
細い路地を抜けると入り口が。少し分かりづらいので「さくら荘」と書かれた看板を見落とさないように。
店の奥にある2階への階段を登ると、そこにはたくさんのレコードが。収集家の人は探していた一枚に巡り会えるかも。
るごろでは家具のリペアやリメイクも行っている。写真は古い和タンスにキャスターと天板を付け、棚にしたもの。
年月を帯びた味わい深い小道具が並ぶ。
るごろ1階の店内。
るごろ2階の店内。
Profile
- 北岡稔朗(きたおかとしろう)
- 古い物が好きなこともあり、2007年に「古道具るごろ」を福岡市の桜坂に構える。毎週金・土・日・月に営業。
住/福岡市中央区桜坂2-1-44 さくら荘1号 問/090-8353-5330 http://lugoro.net/
写真=石川博己 文=原口昌子