自然を感じながら、人生をいきぬくヒントをみつける場所。
南大橋の住宅地を歩いていくと、高台の上に残された小さな森がある。その森に隣接して建っているのが、「いきぬきどころ・きんど」だ。自宅の一部を開放しカフェとして金曜、土曜日に営業している。オーナーである古庄さんは居場所作家という肩書きを持ち、店舗の総合プロデュースから住宅の設計などを幅広く手がけている人物だ。
「きんどを始めたきっかけは、自然を感じて欲しい、頭ではなく体全体で“感じる”ということを大切にして欲しい、という気持ちからです」。それは情報量が増え、頭で考えることが多くなっている、現代の動きに対する危機感だという。そうではなく、森を感じ、風を感じ、温度を感じる。そんな場所であって欲しい、という思いから作られた店内。「洗練はされていません。ただ、心地良く居られる場所を目指しています」。インテリアもすべて古庄さんが選んだもの。小学校の跳び箱で作られたテーブルなど、どこか懐かしさが漂い、店内は木のぬくもりと薪ストーブが暖かい。
「息を抜かないと、新しい空気は入ってきません。息を抜いて、吸って、ここで生き抜くヒントを見つけてもらえれば嬉しいです」。“いきぬきどころ”という名前に込められた思いがそこにはあった。自然の包容力に身をゆだね、ゆったりと過ごす時間。そこは古庄さんの人柄のように、穏やかで風通しの良い空間だった。
石段を登るとそこには「いきぬきどころ・きんど」の看板が。進んでいくと、空気が森の澄んだものになっていく。
自宅の一部をカフェとして開放している。右に進むと古庄さんの自宅の玄関。左に進むと「きんど」にたどり着く。
緑があふれ、住宅地にいることを忘れてしまうような場所。草木は最低限の手入れ以外は、基本的に自然のまま。
店内の椅子やテーブルは自然素材を使って作られたもの。外に見える森の雰囲気にぴったりとマッチしている。
Profile
- 古庄和也(ふるしょうかずや)
- “居場所作家”という肩書きで、店舗の総合プロデュースや住宅の設計、マークデザインなど幅広く手がける。南大橋の自宅を一部開放し、「いきぬきどころ・きんど」を金曜、土曜日に営業中。
住/福岡市南区南大橋2-15-19 問/092-551-3872 http://kindo.ibasyo.in
写真・文=柳田奈穂