ひと縫いごとにバッグから広がる、ナチュラルな世界観。
テーマは、森・自然・動物。その世界観が形になったバッグや小物を作っているのが、野田志保さん。オリジナルブランド「SHIHON(シホン)」のナチュラルでロマンチックなテイストが人気で、販売しているサイトでも“sold out”の文字が目立つ。「一つひとつ手作りなので、自分のペースでやっています。ちょっとでもイメージ通りにいかなかったら、何度でも作り直しちゃうんです。モノ作りでは意外と頑固(笑)」。子どもの頃から絵を描くのが好きで、何か形を残す職業に憧れを抱いていた。洋裁の得意な母親の影響もあり、雑貨の専門学校に通い、制作展で布雑貨を作ったことをきっかけに依託販売をはじめたという。「かばんは持ち手を選ばないんです。お洋服だとサイズとかで着れないものもあるでしょう。ネット通販をはじめて“このバッグを中心に着るお洋服を決めてます”というお便りをもらったことがあるんです。ハンドメイドなので、商品が売れると嬉しい反面、ちょっと寂しくもあって。そんな時こんな心のこもった言葉をもらうと、すごく励みになります。この仕事は私のいきがいです」。バッグの持つ優しい雰囲気を支えるのは、作り手の凛とした強さ。一針ひと針縫うごとに野田さんの世界が紡がれていく。
“草原の似合う三つ編みの女の子が持っていそうなバッグ”が制作のイメージ。
こちらはファーを使ったかわいいバッグ。コサージュや布のネックレスなどアクセサリーも作っている。
よく使う素材はオーガンジーで、フワッとした手触りがSHIHONの世界観とよく合っている。
野田さんの大切なミシン。ポーチ35個を1週間で使ったことも。
自宅のアトリエには制作したバッグがずらりと並ぶ。
Profile
- 野田志保(のだしほ)
- 大分県出身。2000年にオリジナルブランド「SHIHON」を立ち上げ、どこにでも売っていない自分の世界観を形にした一点もののバッグや小物を手作りする。ただいま育児の合間に新作制作中。http://shihon.com
写真=石川博己 文=生野朋子