Issue 2023.12

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デザイン塾で制作する、テーマ自由のオリジナル冊子。受講生4名の学びの成果をご紹介。

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2015.7.12

切り絵作家=codomopaperさん

懐かしく新しい、絵とはひと味違う世界。

白と黒、さらに色紙を使って表現される切り絵作家のcodomopaperさんの作品は、時に可愛らしく、ノスタルジックだったり、作品によって多彩な表情を覗かせる。空想や日常生活からインスピレーションを受けて、下絵からカッター1本で画用紙に表現していく切り絵は、絵とはひと味違う立体感で光と陰を映し、あたたかくて懐かしい雰囲気を醸し出す。

codomopaperさんが切り絵の世界に魅了されていったきっかけは、カルチャースクールで参加した切り絵の講座だった。「幼い頃から好んでイラストや漫画を描いていました。ペンや水彩、アクリルなど色々と試しましたが自分には合わなくて。試行錯誤を重ね、ストレートでシンプルに表現できると思ったのが切り絵でした。まず色鉛筆でざっと薄い色から描き始め、徐々に輪郭を決めて下絵を完成させます。そこに色画用紙を貼付けてカッターで切り抜いていきます。迫力をつけたい時は細かく作り込み、可愛らしく見せたい時はシルエットをシンプルに仕上げています」。使用するカッターは刃の角度が異なるもの、力をいれなくても切れるものなど、作品の仕上がりをイメージしながら使い分け、作業を進めていく。

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「切り絵を作るにあたり大切にしているのは、思春期の子ども達が空想で広げていくような世界観です。片想いのような、一方的だけど熱く楽しい気持ちを、自由に純粋に表現していきたいと思っています。ごちゃごちゃと考えるのが嫌いというか、自分の作品をアートっぽくしたくないというか。どこかアートって個人的に高嶺の花で、上品過ぎて合わない気がするので、私は何事も分かりやすく伝えていきたいです。その点、切り絵ではリラックスした気持ちでシンプルに取り組むことができるんです。あと、一枚の作品にしても漫画にしても、見た人が色々と想像できるよう、続きの物語が膨らむ作品づくりを気をつけています。“この続きはこういう展開ですよね?”という質問をよく受けるのですが、自分の結末と違うことも多くて、そこが面白いんですよね。見る人それぞれに感じてもらうことが重要だから、作品に対する感想はもちろん千差万別。万人受けするような作品より、見てくれたその人の心に響く作品を目指したいです」。

今後は海外の人が見ても分かるように、吹き出し無しのサイレントで物語を作っていきたいと語るcodomopaperさん。懐かしく新しい、童話のような雰囲気を持つ作品は、これからも見る人をますますその世界観に引き込んでいくだろう。

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Profile

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codomopaper(コドモペーパー)
20代前半より切り絵作家の活動を開始。切り絵デザインと、切り絵の漫画を中心に作品の展示・販売を行う。見る人の生活をもっと楽しくするような作品を目指している。
http://codomopaper.net/

写真・文=松本恭尚