Issue 2023.12

Issue 2023.12

デザイン塾で制作する、テーマ自由のオリジナル冊子。受講生4名の学びの成果をご紹介。

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2011.3.30

アクセサリーsei=伊藤精二さん

アクセサリーsei=伊藤精二さん

永遠の時を刻む、繊細な二つのリング。

指輪、ピアス、ネックレス、ブレスレット…プラチナの輝きにプラスされた繊細さ。彫金作家、伊藤精二さんの手によって削りだされるアクセサリーは、どれも緻密な細工が美しい。「モチーフになるのはケーキや動物、車などの身近なもの。絵本や雑誌などを見ているとアイデアが浮かんできますね。イラストを描いてみて作れるかどうかを判断しています」。幼い頃から金属を扱うということに興味があり、19歳の時に趣味で始めた彫金が現在に至るきっかけ。前職はパティシエだったという伊藤さんの手先の器用さがアクセサリーの制作に活かされている。「制作にはワックスという原型が必要なんです。ワックスを作る技術に関しては誰にも負けたくないですね」。その言葉通り、アクセサリーの原型はとても精巧。そしてそこから生まれる形は、モチーフがそのまま小さくなったかのようなリアルさがある。「流行にとらわれず、ずっと身に付けてもらえる。そう考えると、自分の理想に一番近いのはシンプルな結婚指輪なんです」。そんな想いもあり、現在数あるアクセサリーの中でも特に制作する機会が多いのが結婚指輪だ。「すごく難しいことだと思いますが、いつ見ても時代を感じさせないようなものを作りたいと思っています。」永遠の誓いを指にまとう感覚は特別なもの。その思いを汲んだ指輪は、依頼主の元へと今日も旅立っていく。

アクセサリーsei=伊藤精二さん

店舗の奥にゆったりと構えられた工房。ワックスからできあがった金属を細かく研磨していく。

アクセサリーsei=伊藤精二さん

元パティシエの伊藤さん。ケーキや食器をモチーフにしたアクセサリーも制作している。

アクセサリーsei=伊藤精二さん

繊細な装飾が施されている結婚指輪。オーダー時に好きなものを聞き、モチーフに取り入れることも。

アクセサリーsei=伊藤精二さん

ジュエリーケースは手作り。無限大の形のモチーフは、永遠に付けていてもらいたいという願いが込められている。

Profile

アクセサリーsei=伊藤精二さん

伊藤精二(いとうせいじ)
山口県在住彫金作家。身につけて楽しく幸せな気持ちになるようなアクセサリーやジュエリーを制作し続けている。
問/0836-72-1590 http://sei-space.net/

写真=松本恭尚 文=井上あづみ