物語と旋律が響き合う、本好きと音楽好きのための一夜。
一冊の本とレコードが出会い、朗読とDJという形で披露される『オトヨミ書房』。物語とセレクトされた音楽がしっくりと絡み合い、すっと心に染み込んでいく。「最初はレコードの鑑賞会をやっていたんですが、もっとゆっくり聞いてもらえる環境が作りたいと思ったんです」。そう語るのはDJの土屋さん。アコースティックデュオで活動しているクロダさんが、詩の朗読をしたことがあると知り、現在の『オトヨミ書房』としての活動が始まった。「試しに一度やってみたらとてもハマって。音楽と物語を組み合わせると、不思議とそれぞれが別の顔を見せてくれる。それに聞き入ってくれるのが嬉しいですね」。オトヨミは月に一度、夜に開催される。薄暗く暖かな光が灯る空間は、ゆったりとした気分で素直に聞くことができ、オトヨミにぴったりだそうだ。「夜に音楽と物語が響いていく感覚が好きなんです。特に、お酒と共に楽しんで欲しいですね。酔いが回っていくうちに、物語に溶け込んでいってもらえる気がするんです」。音楽と物語、そして一杯のアルコールのコラボレーションが生み出す、心地良く贅沢な一夜。グラスを手にそっと耳を傾ける、大人のための読み聞かせの時間がそこには広がっている。
読みたい、聞かせたいと思った物語を選び、それに合わせてレコードをセレクトする。多くのレコードの中からどの曲を合わせるかがDJの腕の見せ所。
活動を始める以前にもステージで朗読を披露したことがあったというクロダさん。優しい語り口が物語へと引き込んでくれる。
物語の合間に語られるのは、物語やレコードの説明。観客とのコミュニケーションの場にもなっている。
Profile
- オトヨミ書房（おとよみしょぼう）
- DJ土屋GET DOWNと、クロダミカの二人で、月に一度オトヨミを披露している。サイトではオトヨミ書房の一夜を聞くことができる。カフェや雑貨店への出張も、サイトより依頼できる。
http://otoyomi-shobou.com/
写真=石川博己 文=原口昌子