デザイン講座(6ヵ月)では、後期の授業でオリジナルの冊子を制作します。
企画から編集、執筆(必要であれば取材も)、撮影(iPhoneでもデジカメでもOK)、デザイン(InDesignを使用)まで、すべて自分で行います。
前期で学んだ内容を実践してみて、きちんと習得できているかを確認することも目的の一つ。
テーマは自由なので、せっかくなら今後の活動に役立つような一冊を作ると良いでしょう。
卒業生たちの例を見てみると…
・イラストレーターの方が出版社に売り込むためのプロトタイプを制作し、出版化が実現。
・デザイン業界へ転職するためのポートフォリオとして制作し、その評価で採用される。
・知人の洋服店のパンフレットを作り、気に入られて印刷の発注を受け報酬をもらう。
・アートブックフェアに出展し、デザイナーとしての活動の起点となる。
・制作した冊子が会社に評価され、念願の制作部に配属される。
…などなど、上手に活用していました。
これまでに個性豊かな冊子がたくさん作られてきましたが、なかなかお披露目する機会もなかったので、これから少しずつ掲載していきたいと思います。
今回は5人の受講生の冊子を10ページずつ抜粋して、本人のコメントと共にご紹介します。
A.Oさん|『dinesen』
最初はワンテーマで作ろうとしていたのですが、サムネールを一通り作ったところで、自分の今まで撮った写真を使って作りたいなーと思いだし、写真ありきの内容で考え直しました。
自分の写真を使って、あと、前期の授業で教わったことをできるだけ活用できるようにと内容を考えました。
昔からマガジンハウスのものをはじめ、カルチャー誌がとても好きだったので、そういった雑誌を意識し、特集があって小説ページがあってコラムがあって、という構成にしました。
習ったことをかなり詰め込めんだ出来上がりになっていると思います。
タイトルにはあまり意味はなくて、好きな作家の名前です。
この冊子では、文章と写真を格好良くデザインしたいと思い、フォントや文字組みについて色々調べたり試したりしました。
今後、青空文庫などにある版権切れの小説で、文芸書のデザインをやってみたりしたら面白いかもと思っています。
あと愛猫の写真集も作ってみたいです!
左閉じ(右・表紙 左・裏表紙)
塾長より|いろんなデザインを試したいと、積極的にさまざまなテイストを取り入れていたA.Oさん。
毎週、自主課題を設けて、かっこいい文字組みやタイポグラフィなど、見本となるフライヤーを完璧にコピーし、塾に持って来ていました。
デザインの上達方法である「良いデザインを真似ること」を、ちゃんと実行していましたね。
この冊子にも、随所にA.Oさん好みのデザインが入っていて、とってもバランスが良いです。
すぐにでもデザイナーとして通用すると思いますよ。これからも頑張って表現していってくださいね。
T.Hさん|『topao』
これから立ち上げようとしているブランドのブランドブック。
品のあるシックなデザインが特徴で、女性をターゲットにしています。
扱う商品はハンドメイド服がメインですが、他にライフスタイルに寄り添った情報・プロダクトを扱います。
「日常にワクワク・ドキドキやあたたかい時間を提供すること」がコンセプト。
制作については、私が好きな雑誌を参考に作成しました。
冊子制作は初めてだったので訳も分からず、とにかく先生の言われる通り余白を測ってばかりいました。
実際に完成してみると、自分の思いがデザインで表現できるって楽しい!と改めて感じました。
これからはこのブランドの思いが少しでも多くの人に伝えられるよう、デザインと付き合っていきたいと思っています。
左閉じ(右・表紙 左・裏表紙)
塾長より|洋服を作ることが好きで、ネットショップを立ち上げようとしてるT.Hさん。
そのショップのコンセプトブックが完成しました。
コラージュなど、Photoshopを使った表現に興味を持っていたから、この冊子にもそういう表現が多いですね。
これからブランドがどう育っていくのか楽しみにしています。がんばってね。
A.Wさん|『Make a fabric』
私はテキスタイルデザイナーという肩書きで活動をしていますが、もともとは絵を描いたり、服飾を勉強しているうちに、約10年ほど前にプリントや織物をはじめました。
フランスなどで活動した後、2020年からは福岡県広川町の地域おこし協力隊として、地域の素材を活かしたプロジェクトをしています。
デザイン講座に参加しようと思ったきっかけは、自分の制作やプロジェクトのコミュニケーション力をもっとつけたいと思ったからでした。
もともと自己流でPhotoshopなど一部デザインソフトを使用していましたが、講座ではエディトリアルデザインの基本テクニックを順に学びながら、グラフィックデザインとは、デザインする上で必要な要素とは、そして感覚的な部分についても、ロジックに講義してくださいました。
また、自分の好きな、身近にあるチラシや印刷物を毎回持っていき、ざっくばらんにみんなで紹介し合うのも楽しかったです。
講座後半に取り組んだ冊子制作では、自分の制作活動の約10年間を、過ごした場所と共にまとめることにしました。
コンセプト、構成、写真、図版、文章を決め、編集しながら自分で冊子を作っていく作業は、ワクワクすると同時に大変でもありましたが、先生が受講者一人一人のペースに合わせて指導、サポートしてくださり、まだまだな部分は沢山見えてきましたが、出来上がりにとても喜びを感じています。
また、過去の制作を、生活した場所と共に振り返る作業もとても有意義なことでした。
左閉じ(右・表紙 左・裏表紙)
塾長より|テキスタイルデザイナーであるA.Wさんの集大成とも言える一冊。
これを見せれば、A.Wさんがどんな作品をつくる人なのか、一目で分かってもらえますね。
過去に受講生が制作した冊子の中で、最もページ数が多い76ページの大作!
(基本的には32ページの冊子を作りますが、希望によりページ数の増減は可能です。)
これだけのボリュームになると中ダレしがちですが、まるで画集を見ているみたいで、全く飽きがこないですね。
今後も素晴らしい作品を期待しています。
M.Oさん|『新しいご家族を迎える方へ』
「犬の十戒(犬目線で描かれた人間への10のお願い)」を元に作成しました。
新しいご家族を迎える方にも、すでに一緒に暮らしている方にも知ってほしい内容です。
愛犬の命を救ってくださった動物愛護団体の方々に、寄付以外の手段で力になれることはないかと考え、動き出したきっかけとなりました。
右閉じ(左・表紙 右・裏表紙)
塾長より|動物好きのM.Oさんの、ほあんとした優しさがそのまま冊子になったようです。
家で飼っているワンちゃんの写真を使って「犬目線で描かれた人間への10のお願い」をテーマに制作。
シンプルな文字組みとナチュラルテイストでまとめ、心にスッと入るデザインになりました。
胸がジーンとなる、とってもあったかい冊子です。
R.Mさん|『好きな駅、あつめました』
日本全国の特徴のある駅や変わった駅など、私の好きな駅を集めた冊子です。
秘境駅、変わった駅舎を持つ駅、建築が美しい駅、温泉のある駅、絶景駅と5つの章に分け、25駅ほど掲載しています。
各ページは写真中心のレイアウトで、全体的に賑やかな印象を出しており、章ごとに背景色が変わり雰囲気が違って、飽きずに読み進められるようにしました。
章末に駅弁を紹介するコラム、海外の駅を紹介するコラムなど駅に関するコラムを入れ、ページ数が少ないながらも読み応えのある内容となっていると思います!
私は幼い頃から電車で旅をすることが大好きです。
特に学生の頃は自分で新幹線なんて乗るお金がないので、JRが期間限定で発売している「青春18きっぷ」というJR乗り放題切符を購入し、全国をよく旅していました。
「青春18きっぷ」専用の雑誌も買い、乗り方を攻略し、全国の駅の情報を収集していたほど夢中になり、没頭していた趣味の一つでした。
そんな頃のことを思い出しながら、楽しく冊子作りができたと思います。
冊子を作るにあたり、全国の駅をたくさん調べる中でまた行きたい駅をたくさん見つけてしまったので、今度ゆっくり電車の旅がしたいですね。
右閉じ(左・表紙 右・裏表紙)
塾長より|ページごとにビビットなカラーを配色。明朝体のきれいなフォントとも相まって、目を引く美しいデザインです。余白の使い方もいい感じ。
テキストを白抜き、スミのせなど、どちらかで入れることによってスッキリとしたデザインに仕上がっています。
塾長もこんな駅に行ってみたいです。
*冊子の写真はネットから使用しています。(あくまでデザインを実践するために制作する冊子なので、文章や写真などをネットから引用することも可としています。)