僕の好きな映画「フォレスト・ガンプ」の中で、フォレストの彼女ジェーンが
幼い頃住んでいた廃屋の家に、泣きながら石を投げるシーンがある。
幼い頃受けた虐待を、大人になった今でもトラウマとして抱えている象徴的なシーンだ。
やさしいフォレストはその家をブルトーザーで壊してしまう。
トラウマではないと思うけど、この写真の中のこの部屋に住んでいた人は
ここで暮らした日々のことをどう思い返しているのだろうか。
写真を撮っているとよくそんなことを思う。
目の前にあるこの古い建物にはどんな記憶があるのだろうか。
ここにはどんな人が住んでいたのだろうかと。
池島には今は廃墟となっている100棟あまりの団地群がある。
炭鉱最盛時には4000人の人たちがそこで生活をしていたという。
閉山になりその人たちは離島し、今は廃墟となっている。
そこに住んでいた人たちは今、池島での暮らしをどのように思い返しているのだろう。
友達と遊んだ公園。
窓から手を振るお母さん。
真っ黒になって帰ってくるお父さんの姿。
記憶の中にしっかりと刻まれたその光景は、どんな色を帯びているのだろうか。
ここで過ごした人と当時のことを聞きながら歩いてみたい。
時間を巻き戻しながら写真を撮っている感じがするだろう。
関係ないけど、「異人たちとの夏」が観たくなった。
借りてこよう。
写真はRolleiflex 2.8fで撮影。フィルムはコダック160vc。
Fuji グロッシーでプリントしている。