Issue 2023.12

Issue 2023.12

デザイン塾で制作する、テーマ自由のオリジナル冊子。受講生4名の学びの成果をご紹介。

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2018.3.5

Report: モニターツアー 視点採集「平成筑豊鉄道」編 2/15

視点採集コレクション紹介

【1】M.Eさん 男性(Nikon D60 /digital)

〈M.Eさんの視点〉

視点採集に参加するのは4回目になります。
今回は「平成筑豊鉄道」編ということで、色々と予習をしたところ、かつてはJRで石炭を運んでいた鉄道が、
年号が平成に変わる瞬間に平成筑豊鉄道という新しい名に変わったというような歴史を知りました。
そこで、「時」に視点を定め、瞬間を切り取る写真の中に、時間の流れを写し込むことを狙いました。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

明け方の商店街。今から起きて動き出しそうな時の流れを感じました。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

もう店を閉じてしまったペンキ屋さんと、新商品を謳うコンビニの真新しい幟とのコントラストが面白くて。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

店名も剥がれ落ちてしまっている、古くて味のある建物に、PC関連ショップという新しい役目が与えられたようです。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

屋根が錆び、古い人形の飾られた昔ながらの街並みに、ぴかぴかの今風の建物がつくられていて、
時の移ろいを感じました。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

クルクルと元気よく回る床屋さんの回転灯から、かつての炭鉱の煙突を臨むことで、
昔と今の両方を一枚に収めました。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

結び立てのピカピカのおみくじと、その奥にずっと長い間ここに立ち続けてきた、錆びた街灯のポールとの対比。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

壁のひび割れの補修が、時の流れを刻んでいる風景。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

かつての風景と、今現在の風景が同居。古い造りの駅の中に、新しいカラーの時刻表が貼ってあります。
実は、年代物のように見える黒板の時刻表などはロケの小道具で、むしろ、そちらの方が新しいかも…という面白さ。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

屋根の裏側が朽ち、地面にバラバラと砕け落ちていました。
この場所をぐるっと囲っていたであろう、立ち入り禁止のテープすらボロボロになってしまっており、
時間の経過を物語っています。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

針金を巻き込んで?成長した樹木。この形になるまでには、長い時間がかかったのだろうなぁと感じました。

〈M.Eさんの感想〉

今回の企画も地域密着型で楽しかったです。
現地集合して行きのバスに乗らなかったからか、いつもよりは事前の情報量が少なかった気はしましたが
代わりに個人的には平鉄を直方→行橋まで堪能できて、
車掌マイクも使わせてもらって、乗り鉄としても満足です。

いろんなことが学べるのもクリエイティブツアーの醍醐味なので、
また興味深いところに連れて行ってもらえるのを楽しみにしています。

視点採集は撮ってるときのプレッシャーがすごいですが、皆さんの発表を聞くのはすごく楽しいです。
普段のツアーでも他の方が撮った写真に興味津々なので、
毎回皆さんのコメントつきでまとめてもらえると捗ります(笑

子供達も安定してきたので、また次のツアーもできる限り参加させてもらえればと思います。

〈石川の講評〉

クリエイティブツアーや視点採集に、よくご参加いただいているEさん。
いつもながら視点がはっきりしていて、説得力のある10枚です。
「時間の流れを写しこむ」という視点。
どの写真も確かに、“これまで(過去から)”と、“これから(数時間、数ヶ月先)”という時間の流れや
過去と現在の対比を感じさせる写真になっています。
こういう視点でなければ撮らないであろう写真が、まさに「視点採集らしい」写真ですね!
建物の天井が朽ちて落ちているところ、僕も見ましたが、
何が落ちているのかさえ関心もなく通り過ぎてしまっていました。
視点を持つと注意深く観察するので、こういう画にも気がつくんですね。なるほど!
田川はかつて炭鉱で栄えた歴史のある街なので、時間の経過を感じられる場所がたくさんあります。
こういう視点で切り取ることができるのも、田川らしいと言えるでしょう。

8枚目の油須原駅の写真を見て思い出したのですが、
当時(僕が高校生の頃、約35年前!笑)、付き合っていた彼女が赤村の子で
夜、スクーターで会いに行っていました。
夏の夜はその道が蛍の光で埋め尽くされ、その光が何キロも続くんです。今では信じられないような光景でした。
そんな自然が、まだここには残っています。
「源じいの森」という、温泉やキャンプ場などもある自然豊かな保養施設があるので、
ぜひ皆さん、遊びに行ってみてください!