【13】ランドブレイン 堀口さん 男性(Nikon D5500 /digital)
〈堀口さんの視点〉
事務局なのに、まさか発表することになるとは思わず、ちょっとドキドキしながらも楽しく撮りました。
テーマについてですが、自分はまちづくりやまちおこしの仕事をしているので、
今後、この田川エリアを売っていく時のヒントになるような言葉を探しました。
そしてもう一つ、「炭鉱」や「レトロ」という言葉を使わずに、
炭鉱で栄えた当時の優雅さみたいなものを表現できる、風景を切り取りたいと臨みました。
テーマは「粋」です。
言葉の正しい意味は「江戸時代に庶民の美意識から生まれたもの」になるのですが、
それが実は田川の中にいっぱいあると感じ、田川の繁栄の余韻を「粋」というテーマでまとめてみました。
風治八幡宮の「八」が鳥になっているディテール、当時これを作った人の粋さが込められているなと。
職人さんの、手間暇と遊び心が感じられました。
また、暮らしを楽しむ人たちの、心の豊かさを表しているのかなと思います。
家の入口の上のところに、欄間のような細工が施してありました。
こちらも住んでいる人のこだわりや満足感が垣間見えていいなと感じました。
中島鮮魚部の看板。なぜ「鮮魚店」ではなく「部」なのかもすごく気になったんですけど(笑)。
文字の立体感や構造、素材など、手間がかかるはずなのに、手間をかける何かがあったんだろうと思います。
田川のガード下を越えたところにあった、解体中の建物です。
地図で調べたら、元々は呉服店だったようで、おそらく浴室に作られていた、タイルで描かれた絵です。
家のお風呂に、こういう絵を描くのは、「粋な生活」そのものじゃないかなと思いました。
「粋な名前」を見つけました。
書体も粋だし、こんな苗字だったら、おしゃれな生活ができそうだと思いながら撮った一枚です。
ちょっと廃れたレトロな喫茶店にも関わらず、生の花のリースがかけてある、
こういった「おしゃれさ」ってなかなかだなぁと。
絵馬なのですが、「家族の太っている私たちを痩せさせるお手伝いをしてください。」という
すごいお願いを神様にしているなぁというものがあって(笑)。
「粋」というのは裏返すと、ユーモアとか、毎日の楽しみやちょっとした笑いをどう見つけるか、
みたいなことなのかも…と思いました。
ひょっとして田川で育つと、こういう感性が育つのかな〜なんて思った一枚です。
ところ変わればですが、アメリカの某有名監督をもじった、バーガー屋さんを見つけました。
時代は違うけど、粋な田川で育った方がはじめた、お店だろうと勝手に思っています(笑)。
最後に、赤村特産物センターで、お餅をくださった中原先生が書いてくれていたメモです。
「甘〜いお菓子です!おいしいで〜す!」という、この「〜」と伸ばした部分に、
優しさとか、思いやりとか、愛とかが込められているなぁと。
こういう、ちょっと遊びの部分っていうのは、やっぱり田川の良いところですね。
〈堀口さんの感想〉
やっぱり田川が好きです!随所に“らしさ”があって、それを見つけるのが楽しかった。
ただ、まちあるきを始める前に設定していたテーマは、すぐに無理だと感じ軌道修正。
後半まで悩みながら撮ることになりました。
切り取る風景はもちろん、写真の順序やストーリーを考えてみると、もっと楽しめそうです。
あと、そもそもですが、写真の腕が問題なので、がんばります!
〈石川の講評〉
飛び入り参加のランドブレインの堀口さん。今回の企画を調整してくれた仕掛人の一人です。
堀口さんは今まで、いくつもの町おこしに関わってきた方。
その視点は、かつて栄えた町の「粋」を撮るというもの。これはいいですね!
同じく炭鉱で栄えた大牟田市もそうですが、町の至る所に、当時の栄華を感じさせる名残があります。
ちょっとしたところにも趣向を凝らした造り(遊び心)があって、まさに「粋」ですよね。
風治八幡宮の神額、少し隙間を空けたレンガの壁。
呉服屋さんのお風呂場のタイル。(僕が子どもの頃、確かにここは大きな呉服屋さんでした。)
解釈を変えて撮った「粋」も田川らしく、シャレが効いています!
さすがの10枚でした!
楽しんで撮っていただけたようで良かったです。視点採集、面白いでしょ?(笑)
4枚目の写真の「中島鮮魚部」。この看板も当時からかな。詳しくは覚えていないけど、この色は記憶にあります。
今見ると、良いタイポグラフィですね。
ここの一角も当時は活況があり、この魚屋さんにもズラリと魚が並んでました。
僕はよくここに、クジラの刺身を買いに行かされていました。200gくらいで1000円もしませんでした。