【12】Y.Sさん 女性(PENTAX K-5IIs /digital)
〈Y.Sさんの視点〉
「夢の中で」という視点で撮影しました。
視点採集へ参加し、目的地に到着するまでは
平成筑豊鉄道の周辺が地元だったら、、、という視点で撮影するつもりでしたが、
到着して感じたのは「地元感」ではなく、「違和感」でした。
それは、当然です。初めて足を踏み入れた場所だったからです。
初めて訪れた場所を地元として捉えようとして感じた「違和感」は、
まるで夢の中にいるような感覚だったので、素直にその気持ちで撮影しました。
いつもは明るく写真を撮ることが多いのですが、
夢をみているような、幻覚に近い雰囲気を出すため暗く撮影しました。
私にとっても初めての視点で楽しかったです。

伊田商店街の薄暗い中に浮かぶ看板が、幻想的でした。

さあ、奧へおいでと呼ばれているようでした。

ガスのメーターも、秘密基地の何かのメーターに見えました。


遠くに見える人影を追いかけても、追い付かない。
幻だったのでしょうか。

風治八幡宮の凛とした空気も不思議に見えました。

夢の中では、地域のゆるキャラも可愛い顔した恐ろしいやつに見えてきます。

少しくたびれた空気が、むかーし昔の記憶のようでもありました。

さまよった夢の中、初めて人に会いました。
(という設定の一枚)

そして、私は電車に乗って現実に戻るのです。
〈Y.Sさんの感想〉
今回、平成筑豊鉄道周辺巡り。
だれかにとっては当たり前すぎる日常だけれど、私にとってはものすごく非日常な空間に触れた1日でした。
ちょっと寂れた佇まいの商店街や道。
「だれかの実家感」をいたるところに感じられました。
私の記憶の中にはないはずなのに、なぜか懐かしい。
不思議な感覚でした。
地元(小倉)のちょっと寂れた薄暗いところが似ていたのかもしれません。
帰りは、みなさんと別で平成筑豊鉄道に乗車して飯塚に向かい、JRに乗り換えてというルートで帰宅したのですが、
電車内の乗客のおばあちゃん同士の会話や、車窓からの眺めが、なんだか居心地が良くて、
「昔からある心落ち着くもの」に触れたような気持ちになりました。
最後に、赤村特産物センターのおばあちゃんの雰囲気が特に好きでした。
胃腸炎を患っており、朦朧としていたからでしょうか。笑
この撮影の時間は、新しい視点で撮影できたと思います。
ありがとうございました。
〈石川の講評〉
「夢の中で」という田川出身の井上陽水の歌のような視点です。
視点を聞くまでは、露出を失敗したのかなと思っていました。意図的に暗く撮ったんですね。
写真だけを見ると、神隠しにあいそうな、なんともおどろおどろしい感じです。
その流れでマスコットキャラクターの写真が出てきた時はもう別の国に行ったようです。
どうしてこんなことになってしまったのか…。
わかった!この写真たちは絵本ですね。
不思議の国のアリスのような視点といいましょうか、そういう風に見てみると
どこでも物語ができそうな気がします。
いつもと違う描写で見知らぬところで絵本を描くかのように写真を撮る。
面白いかもしれません。知らない土地であればなおさら楽しめる撮り方かもしれません。
僕もお腹が痛くなったら知らない土地に行ってやってみたいと思います。
4枚目の写真は田川伊田駅の連絡通路。
30年前の記憶でストップしている僕にとっては比較的新しいものです。
反対側の石炭記念公園に出ることができます。
通路の半分くらい自転車が占めています。暗めに撮っているので、かなりヤバそうな通りに見えますね(笑)。