Issue 2023.12

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デザイン塾で制作する、テーマ自由のオリジナル冊子。受講生4名の学びの成果をご紹介。

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2018.3.5

Report: モニターツアー 視点採集「平成筑豊鉄道」編 11/15

【10】K.Iさん 男性(Canon EOS 5D Mark IV /digital)

〈K.Iさんの視点〉

初めて視点採集に参加させていただきました。
僕は田川伊田駅のすぐ近くの八木産婦人科で生まれましたが、3才で福岡の方に引っ越してきたので、
田川にいた頃の記憶はほとんど残っていません。
正月と盆と、神幸祭という大きなお祭りの時にしか帰省したことがなく、写真を撮り始めたのも最近なので、
ちゃんと視点をもって自分の生まれた場所を歩くのは初めてのことでした。
そこで今回は、「子どもの僕と一緒にいる母親の目線」で撮ってみました。
赤ちゃんだった頃の小さな僕を抱いて、あやしながらこのまちを歩いていた母親の目には
こんな風に映っていたのかなと想像しながら、まとめました。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

風治八幡宮の手水舎です。
かっこいい龍から水がポタポタと落ちている様子に目を奪われて、
僕がぐずった時にこれを見せれば、黙るんじゃないかなと。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

怪獣のようにも、ウルトラマンのようにも、ロボットにも見える竪坑櫓。
大きい建物って子どもは好きだと思うので、母親が「ほら、あれ見て」と言っているシーンを想像して、
下から見上げて撮りました。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

男の子は電車や車などの動くものが好きなので、
子どもを抱いて「ほらほら、電車だよ」って見せたら、きっと泣き止むんじゃないかなと思って。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

田川伊田駅の商店街の中にある、おもちゃ屋さん。ここにも昔、通ったんじゃないかなと思います。
連れてきてもらえたら、喜んだでしょうね。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

ペットショップ屋さんと言っていいのか…?金魚とメダカしかいなかったんですけど。
表にいっぱい陳列してあって、ヒラヒラと動く金魚に目が行くので、
商店街を歩いている時に、一緒に眺めたりしたんじゃないかなと。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

ギターのようにかっこいいものが好きだった3才の頃の僕に、
「あれ見てごらん」って言っている様子をイメージして撮りました。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

生まれた病院です。
母親が退院する時、生まれたばかりの僕を抱っこして、病院を出てすぐに見た光景がこれなのではないかなと。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

のぼりに描かれている、源じいの森のゆるキャラ「源じいさん」。
かわいくて、ちょっとジャムおじさんにも似ています。
小さい頃の僕にこれを見せたら、きゃっきゃと楽しむんじゃないでしょうか。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

田川伊田駅からちょっと歩くと陸橋が。階段を上がるとすぐに線路がある、ロケーションの良いところです。
ここはたぶん危ないので母親は入っていないかなと思うのですが、
おそらく父親が抱っこしていたら、連れていかれただろうなと思って撮りました。

視点採集「平成筑豊鉄道」編

僕は今年で28歳になるのですが、田川に年3回は帰ってきているものの、
平成筑豊鉄道に乗ったのは今回が生まれて初めてでした。
もしもずっと田川に住んでいて、母親と一緒に乗っていたとしたら、
子どもの僕はこの位の高さの目線で、こういう景色を見ていたのではないかなと想像して撮りました。

〈K.Iさんの感想〉

今回の視点採集で、自分の生まれた街をファインダーを通して
今までとは違う視点で見られて良かったです。
これからの写真生活でも生きる貴重な体験になりました。

〈石川の講評〉

K.Iは僕の息子なんですが、母親の視点というのはびっくりでした。
実際にどういう感じだったのかを書き出すと長くなるので(笑)やめておきますが、
母親がかつて、どのような気持ちでここに住んでいたのだろうと思いを馳せるのは楽しいことかもしれません。
当時とまったく同じ景色はありませんが、自分を抱いた母親が歩いていた道に、今、自分が立っていると
時間が巻き戻っていくような気持ちになったんじゃないかと思います。
彼に3歳までの記憶はあまりないと思うけど、いつでも子どもの頃に戻れる場所が故郷ですね。

4枚目の写真、「玩具のフジタ」。まだ営業してるかな?
この店は確かに行った!子供の頃から一番行った店じゃないかな。
商店街の中に、ここともう一軒おもちゃ屋さんがあって、この店はプラモデルと空気銃が多かったんですよ。
父ちゃんは相当買ったぞー。5枚目の金魚屋さんには、クワガタを“売り”に行ってました(笑)。